はっきり言って、浅はかだった。

本格的な登山と言うほどの山ではないが、登り始めて早一時間。

かなりの急斜面の石段を登っているのに、一向に頂上は見えてこない。

ずっと歩いているため、足は痛く、体は火照(ほて)ってじわりと汗までにじみ出てきた。

コートとマフラーを脱いで腕にかけ、息を切らしながら進み続ける。

だが困ったことに、分かれ道が多いため、観光客の人たちは右に左に散らばって行った。
みんな、どの道が正しいのかわかっていないのだろう。


会話の内容を盗み聞きしようとしたが、運の悪いことに外国人がほとんどで、何を話しているかよくわからない。