鳥居の道標



「えっと……。まず、『Beef or Chicken?』の意味わかってますか? 
牛肉か鶏肉か、ですよ。なのにどうして豚のイラストが描かれているんですか? 
面白さとしてはいいと思いますけど、かっこいいとはあまり……」


 ここで作られたのかはわからないけれど、これをかっこいいと言ってることは事実だから、一応『かっこいい』の基準を修正してあげた。


 神様はプルプルと震えていた。

また泣いてしまったのかと焦ったけれど、どうやら必死に笑いをこらえているらしく、引き笑いをしながら私の言葉を店主に伝えている。


 また店主に怒られるかと思ったけれど、なぜか今度は顔面蒼白になって、一言も口を開かなくなった。


「こいつな、本気でその服かっこいいと思っていたのだとさ。人間の最先端ファッションはこれだと」


 確かに、誰もあんなデザインの服を着ていないから、ある意味最先端なのかもしれない。

 それに、さっき買っていたスパンコールのジャージたちよりはマシだもの。

 でも、少し強い口調だったかもしれないと反省した。

私が狐の言葉を理解できたら、こんなにショックを与えなくて済んだはずだし、何より神様という通訳者を通さない方が手っ取り早い。


狐語は厳しくても、もっと色々な言語を話せたら楽なのかな。