鳥居の道標






神様に手を引かれる、という何とも不思議な体験をし、『行きつけの商店街』とやらについた。



商店街というより屋台に近いと思われる。狭い道を挟むようにして左右に並ぶお店。



神様の言う通り、服や鞄、食べ物に文房具など、様々な品を売っていた。



それらは私たちの生活と変わらないのに、それを売っている店主が少し違う。


大きなお腹を前に出し、頭にハチマキを巻いた狸。人形のように手招きをする猫。目をつりあげた黄色い狐などが、客を呼び寄せる。


ちらほらお客さんらしき人がおり、店主と話していた。


お客さんは日本語を話しているが、店主は日本語でも英語でもない、鳴き声のような言語を話していて、私には理解ができなかった。


「あの、今更なんですけど、ここってどこですか?」


 タイミングを逃し、ずっと聞きそびれていたことをようやく聞くことができた。


神様という存在を知ったものはいいが、これは夢なのか、異世界なのか、はたまた『見える』体質になってしまったのか。


「ん? ここは頂上付近だ」


 神様はそういいながら、色んなお店の商品を物色している。


 道理で話が噛み合わないはずだ。ていうか、さっきまでここで買い物してたんじゃないの?