別に子供を1人で育てている父親なんて珍しくないような気がする。

母親がいない理由を聞かれるのが嫌だし、答えたくないから黙って欲しいからって言うのが理由かな?

星川くんは私が黙っていてくれることに安堵したようで、
「今日はありがとうございます。

スマホを届けにきてくれたうえに、料理もしてもらっちゃって」
と、言った。

「そう、じゃあ」

「また明日、会社で」

「計算間違いの書類はデスクのうえに置いたので確認の方をよろしくお願いします」

「わかりました」

私は靴を履くと、
「それじゃあ、また明日」
と、星川くんの自宅を後にした。

マンションを出ると、
「シングルファーザーか…」

私は呟いた。

星川くんが定時で早く帰るようになったのはそう言うことだったんだな。

そう思いながら、私は家路へと足を向かわせた。