「おねえちゃん、ゆりちゃん、またきてねぇ-」

「うんっまた来るねー。それまで、パパとママと藤さんのいうことちゃんと聞けるひとー!」

『はーいっ』

玄関先で目線を合わせてかがんだあたしに、子供達が元気に手を挙げてくれる。
織江さんと、その後ろで鬱陶しそうにそれを眺めてた藤さんにもお礼を言い、由里子さんと外に出た。

「お待たせ榊」

「・・・おう」

ドアから少し離れて立ってたシルエット。

「あら、こんばんは。宮子ちゃんのボディガードさん?」

由里子さんが気さくに話しかける。

「ていうより守護神てカンジです。・・・榊、シノブさんの妹さんで由里子さん」

代わりに答えたついでに榊にも彼女を紹介。無言で頭を下げたのを、由里子さんは笑って掌をひらひらさせた。

「かしこまらなくていいわよぉ。ただの妹だし、いちおう一般人だし」

エレベーターに乗り込み1階に着いて、地下駐車場の来客用スペースに停めたという彼女とはそこでお別れになった。

「宮子ちゃん、なにかあったらいつでも連絡して? これでもね色々と顔は利くの、雪緒とおんなじくらい」

そう言って淡く口許を緩めた時の由里子さんは、嗅ぎ慣れた“こっち側”の匂いがした。


自動で扉が閉まる瞬間まで手を振り合い、榊に促されてエントランスを抜ければ、路上にハザードを点滅させたセレナ。・・・後ろにもう一台。運転席と助手席に人影があった。