「今はあんまり変わんないよ、段差がキツいくらいだな。動かないワケじゃねーしさ。2年後3年後はなってみないと分かんないってトコ」

「メンテナンスはきちんと出来てる?」

鋭い切り口の紗江にも。返す遊佐はいたって普通で。

「まあね。筋肉落とさないようにジム通いしてるし、リハビリも行ってるよ」

「そう。ちゃんと宮子のこと考えてるのね」

「当然でしょ」

「えらい、えらい」

「紗江に褒められた!」

冗談ぽく言って笑い合う二人。釣られてあたしも。

昔から。大人びてみえた紗江は、4人の中でもお姉さん肌で。あたしがいるにも関わらず来るモノ拒まずだった遊佐を、よく裏庭に呼び出してたっけ。

『・・・好きにしなよ。宮子に捨てられて泣いてるアンタが目に浮かぶわ』

いつも睨み付けて罵詈雑言を吐いてた紗江にある日、真顔で言われて目を醒ましたって。なんかそんな逸話もあったなぁ・・・。しみじみ。