愛は、つらぬく主義につき。 ~2

藤さんがそれ以上取り合うつもりがないのは分かったから、頷くしかなかった。
お兄ちゃんのユキちゃんよりちょっと、隙のないキツネ顔で。年齢より若く見えてても、侮ったら怖い人だってあらためて肌で感じてもいた。
そう言えば黒の細いネクタイしたスーツ姿なんて、初めて見た。遊びに行くといつも私服だったし。

何にもなかったみたいに去ってく、トップだけ金髪のツーブロックの後ろ頭を見つめ、詰めてた息を深々と逃す。

「あの・・・西沢さん」

「・・・はい」

横を見上げると、サングラスと目が合う。

「今の、西沢さんも忘れててください」

「・・・・・・・・・」

「遊佐にはあとで、あたしから話すので」

「承知しました」

黒いガードに遮られて感情は読みづらい。でも声はいつもどおりだった。

「それと。・・・できれば高津さんから目を離さないでもらえませんか」

本当はそんなの、あたしが勝手に口出しすることじゃない。まして西沢さんは、あたしの頼みを聞く義理もない。分かってて言った。断られても当然のつもりだった。

「・・・了解です」

思わなくて目を丸くしたあたしに、低くぼそっと返る。「宮子お嬢の頼みですから」

「ありがとう・・・っ、西沢さん」

ホッとして満面に笑顔がこぼれた。

ついと微妙に逸らされた顔。もしかして照れてるのかな。
あたしを促すように歩き出した彼の耳が少し赤かった? ・・・たぶん。