愛は、つらぬく主義につき。 ~2

「あなたは三の組の相澤代理と親しいんでしたね」

「どっちかって言えば、相澤さんの奥さんに仲良くしてもらってますけど・・・」

いきなり話が飛んで戸惑いつつ。当たり障りのない返事で。
高津さんは口角を上げ、変わらない口調で続けた。

「宮子さんもあの死神に関わるのはやめた方がいい。目的のためなら手段を選ばない、非道な男です」

「・・・それってどういう」

「言葉どおりかな。・・・ああ、結城(ゆうき)さんも知ってるから彼女に確かめてみるといい。嘘を吐く必要は俺にはないから」

“結城”。藤さんと同じで、織江さんを旧姓で呼んだ。

皮を一枚剥がしたみたいに。あたしに、ぐっと距離感を詰めて『扉は開いてるからいつでもご自由に』。逃げも隠れもしないって、堂々と自分を晒して見せてるような。

・・・織江さんの知り合い? でも相澤さんを憎んでる。なんで? そんな人をシノブさんが補佐に置いてるの?

思考回路が迷走しだす。高津晶なんて名前、織江さんの口から聞いたコトなかった。なにこれ。
だって二の組の若頭補佐が、三の組の若頭代理と因縁があるって意味でしょ、ねぇ?


ふと。眼差しを細めた高津さんが小さく息を逃す。哀しげに。

「結城さんは幸せになれやしないよ。・・・可哀想にね」

「な・・・っ」

勝手なコト言わないで!
大きな声を上げかけた刹那。後ろから回された男の掌に、唐突に口を塞がれてたあたし。

「〇△※#▢ッ、・・・?!」

「・・・そこまでにしないと志信にチクるよ、高津さん」

聞き覚えのあるイントネーション。おそるおそる横目を傾ければ。
誰もいなかったハズの右隣りに、いつの間にか藤さんがいて思い切り固まった。