愛は、つらぬく主義につき。 ~2

深緑色のシャツに、ピンクゴールドっぽい華やかなネクタイ。濃淡のコントラストが整った面差しを引き立たせて。
背もあるし、ヘアスタイルもさらっとナチュラル。一流企業のエリートサラリーマンって名乗られても、誰も疑わないかもしれない。

シノブさんが紹介したがってたのって、もしかしてこの人?

「・・・西沢さん」

心なし低いトーンでそれだけ言うと。
西沢さんはやっぱり黙ったまま、少し後ろに退がった。

高津さんに視線を留めながら、あたしも口許だけで薄く笑んでみせる。

「シノブさんから聞いてます。臼井正成(まさしげ)の娘の宮子です。こういう宴会くらいしか顔を出さないですけど、よろしくお願いします」

「僕も場慣れしてないもので。これからは、できるだけ顔を出したいとは思いますけどね。正直なじみません」

クスリと零した時、やっと仮面の裏から素顔が覗いた気がした。

「すみません引き止めてしまいました。遊佐さんには、中根と挨拶させてもらいますから」

「いえ。適当に楽しんでってください」

あたしがちょっと砕けて返せば。

「思ってた以上に宮子さんが素敵な女性(かた)だって知っただけでも、来た甲斐がありました」

彼も涼しげに。

軽く会釈をし合い、その場を後にしかけて。「そう言えば」とやんわりした声が追いかけて来たのを振り返る。