「オマエにどうしても詫び入れたいってさ。けど言っても宮子は断るだろ、だから親父に頼んだ」

哲っちゃんの言うコトは丸呑みだし疑わなかった、自分の反省会だって。まさか相澤さんの招待だったなんて。

「今回の一件、全て私の責任と承知しています。若をはじめ宮子お嬢さんには、命ひとつ差し出したところで足りないほどお詫びのしようもありません」

低く、でもはっきりとした口調でさらに頭を垂れる姿にたまらなくなって、前で両膝をついた。

「ちがいます、勝手で会って迷惑かけたのはあたしです・・・っ。相澤さんに頭下げさせるなんて、ほんとにごめんなさい!」

半分泣きそうになって言うとようやく顔を上げてくれる。
至近距離で交差した眼差しは硬い(はがね)の気配を漂わせながらも、その奥で微かに揺れて見える。

「・・・お嬢さんもご存じのとおり私と高津の因縁に端を発したことです。気遣いは無用に願います」

あたしは首を横に振った。

「高津さんが本気であたしをどうこうするつもりだったら、人目の多いあのカフェにわざわざ呼び出したり真が来るのを待ったりしません。ちょっと度を超えた『別れの挨拶』だっただけです。相澤さんに非はありませんから絶対に」