なんで哲っちゃん・・・?! 
呆気にとられて「え?」とか「あ」しか出てこないあたし。

「愚息の後始末をつけるのは親の役目だと言ったでしょう。・・・これから少し付き合ってもらえませんかね」

差し出された掌。言われるままに手を伸ばすとスマートに引かれて、スツールから下ろされた。

「騒がせたな。経費は俺につけておけ、雪緒」

あたしのジャケットとバッグを手に、もう片方は繋いだままで哲っちゃんがふっと笑ったのを。ユキちゃんは今度は素直に頷く。どっか切なさの入り混じった微笑みを乗せて。

「チヨちゃん、マコトちゃんとトシヤ君と三人でまたゆっくりいらっしゃい」

「あ、うん・・・っ。今日はホントに迷惑かけてごめんねっ、ちゃんとお礼するから・・・!」

「アラ。それじゃ遠慮なくもらっちゃうわね」

片目を瞑った“ママ”がやんわり笑顔で見送ってくれた。