『で、クリスマスプレゼントが婚約指輪だったの? よかったじゃない宮子! これでやっと次は結婚式ねー』

スマホの向こうから、からかうように紗江に冷やかされた。

「うん、まぁね。来年中にはってカンジだけどまだ未定かなぁ。籍だけなら先に入れちゃってもってあたしは思ってるんだけどさ。案外、遊佐のほうがこだわるから」

大袈裟に溜息吐けば、可笑しそうな笑い声が聞こえてくる。

『遊佐クンてなにげに昭和男子だもんね』

「チャラいのにね」

『ギャップ萌えってやつ?』

「へぇそーなの?」

『えっ! 遊佐クン?!』

いきなり後ろから耳元に遊佐の声が割り込んできたから、ビックリしてスマホを落っことすトコだった。

「ちょっ、遊佐っ?」

慌てて振り向くと、松葉杖片手に立ってるスーツ姿の遊佐。
紗江とのお喋りに夢中で帰ってきたの気が付かなかった!

「紗江ひさしぶりー。正月はこっち来る?」

しかもスマホをすんなり取り上げて勝手に話してるし!

『うんそう、それで宮子と電話してたの。てゆーか遊佐クンと話すの何年ぶり?!』

漏れ聞こえる紗江のテンションは心なしか高め。

「そーだね。ずっとイロイロ宮子の相談相手になってくれてたんだろ? サンキュな」

『そんなの当たり前じゃない・・・! 親友なんだから!』

少し声を詰まらせた紗江。・・・やだ、思い出してこっちまで泣けてきちゃうよ。
目を赤くして潤ませてるのを、遊佐が優しくあたしの頭を撫でながら続ける。

「紗江に礼もしたいしさ、榊も引っ張ってくから4人で会わね?」

『会う! 大雪降っても何がなんでも会うわよーっ』

「決まり。じゃあ宮子に代わる」