本来、あたしの捜索なんて仕事の範疇じゃない。なのにイヤな顔ひとつしないユキちゃんに申し訳なさすぎて、深く頭を下げた。

「迷惑かけちゃってごめんなさい・・・ッ。GPSをずっと切ってるつもりはなくて、千也さんも嘘吐く人に見えなかったし、それで」

「だからって、ガキでも知らねぇ男には付いてかねぇだろうがっ」

遮るように榊の(いかづち)が容赦なく落ちた。

「・・・そう、なん、・・・だけど」

「ああ?! なんかあってからじゃ遅ぇんだよ、ドアホ!」

「もちろん軽率だったのはチヨちゃんね。でも思うところがあっての事じゃないかしら。あとでちゃんと聞いてあげてちょうだい。ああほら、マコトちゃんもトシヤ君もお仕事中でしょ? チヨちゃんはアタシに任せて二人は戻りなさいな」

興奮した馬を宥めるみたいにユキちゃんが榊の肩を軽く叩くと、鬼の形相で上から凄まれる。

「・・・あとで覚悟しやがれ」

捨て台詞でセレナの運転席に乗り込み、いつもより乱暴な音を立ててドアが閉まった。

心臓がやすりで削られてるみたいに痛い。どれだけ心配させたか身に染みてる。ごめん榊、ほんとにごめん、ごめんね、ごめん・・・。

ビジネスバッグのハンドルを固く握り締め、沈黙してる車を見つめるしかないあたしだった。