それはあたしの科白でしょ。・・・って。笑って言い返したかった。でも無理だった。どうしたってあの日に時間が巻き戻って、いっぺんに色んなものが吹き出した。

あの事故が。今日っていう未来に繋がってほんとによかった。
たどり着いてよかった。
道を間違わないでよかった。
失わないでよかった。

真を。

あたしの、たった一人を。



ほんとに、ただそれだけだった。苦しかったことも痛かったことも、“今”があるだけで赦せる。全部に『ありがとう』って言える。それがシアワセだって思える、幸せ。

あたしを諦めないでくれて。

あたし達を助けてくれて。

一緒に生きてくれて。

傍にいてくれて。



『シアワセにしてくれて、ありがと』



人生を振り返るたびにね、真に何度でも言わせてあげる。同じことをあんたに聞かせてあげる。約束する。

「ここからが正念場。・・・って、おばあちゃんなら言うのかな」

自分に言い聞かせるように。

『大丈夫! この3年間に比べたらきっと、どうってことないわよ?』

紗江は見えない手で力いっぱいあたしの背中を叩いて。明るく太鼓判を押してくれた。