愛は、つらぬく主義につき。 ~2

その瞬間は。信じがたいものを耳にして、石とか鉄の塊で頭を殴られたみたいな衝撃だった。多分。

ナニヨ、ソレ。

あたしが真の気も知らないで高津さんの味方してるって言ってんの? 

あたしがそんなことするって本気で思ってんの・・・?! 


「・・・ふざけてんの?」 

榊をきつく睨み上げ、お腹の底から唸る。

「あたしはやり方がらしくないって思ってるだけ! 100%高津さんだって思えないだけ! それ以上の感情なんて1ミリだってないし、真より大事なものなんかどこにあんのよ・・・!! あんたが一番よく知ってんじゃないっっ、なんであたしを信じてないのっ?!」

榊は誰よりあたしと真を分かってくれてるって思ってた。
無条件で信じてくれてると思ってた。
裏切られた気がした。
世界中が敵に回ったってあたしは味方に決まってんのに!
榊は違ったんだ・・・!

あっという間に涙が溢れて両手で顔を覆った。

「・・・あんたなんかキライよっっ、バカぁ・・・っ」  

小学生の喧嘩みたいな言葉を、拳の代わりに思い切り榊に叩きつける。他に思い付かないくらい口惜しかった。口惜しいより悲しかった。手の甲で拭っても拭っても急には止まらない涙。

「榊なんか大っキライ・・・ッ」

鼻をすすり上げながら、破れかぶれの心境でそう言い放った刹那。
体が折れるかって勢いで力いっぱい抱き竦められて、息が止まりそうになった。

「・・・・・・・・・同じこと言ってやれ。お前を泣かせたくねぇから、溜めこんじまうんだよアイツも」


・・・・・・え?

頭の上でいつもと変わんない低めの声が聞こえた。

するっと拘束が解け、あたしは泣き濡れた顔で呆然と目の前の大っきい壁を見上げる。ついと顔を逸らした榊は。そのまま背を向け「・・・じゃあな。戸締まりしろ」って一方的に言い置くと、もういなかった。玄関ドアが静かに閉まる音と、あたしをそこに残して。