カミラは、思わず微笑む。百合は、ハッとした顔でカミラに大金が入った封筒を渡した。

「え……?」

百合の行動に、カミラは驚いた様子を見せる。

「代金はいりません、と最初にお話をしたのですが……」

カミラは、お金は貰わずに除霊していた。神界と人間界での通過は違い、もらっても使い道がなかった。

カミラが人間界での通過を使うとすれば、どちらの通過でも使える洋子の店ぐらいだろうか。

「え……でも、本当に……?前に来た霊能力者は、これぐらいの大金が居ると言っていたのですが……」

「……本当に要りませんので、ご安心ください」

「なら、何かお礼だけでもさせてください……!」

百合の言葉に、カミラは「……そこまで言うのならば……」とため息混じりに微笑む。

「福宮さんは、カクテルは飲まれますか?」

そんな質問をされたカミラは「あ、はい。飲みますよ」と戸惑いながら答える。

「私、カクテルが好きで良く行くお店があるんですよ。福宮さんも一緒にどうですか?私が奢ります」

カミラは、少し考える素振りを見せた。今日の仕事は、これで終わりだ。しかし、カミラには、まだやることが残っている。

お礼をさせてください!と言いたげな百合の顔を見たカミラは、断れずに「私も行きます」と微笑む。

そして、歩き始めた百合の後を追いかけた。