お産が進み、もうすぐ出産を迎えることを実感した時、高水夫婦は二人とも涙を流していた。

それは喜びではなく、悲しみと別れを覚悟する涙だった・・・。


「頑張りましょう。生まれたらいっぱい抱っこしてあげましょうね。」
多香子が励ます。

高水夫婦を励ましながら多香子の心も複雑だった。

渉はそんな多香子を見る。

気持ちが折れそうになる瞬間も、多香子は渉を見て自分自身を保つことができていた。


そして・・・その瞬間は訪れた・・・。