たとえ君が・・・

「変わりたくないのか?」
渉は多香子のまっすぐな目から視線をそらさずに聞く。
「・・・」
多香子は答えられなかった。

変わりたい気持ちがないと言ったらうそになる。

でも、慶輔と生まれることのできなかった赤ちゃんを過去に残して、変わっていく自分自身に二人への申し訳なさや後ろめたさも感じる。

変わってしまうことを二人はどう思い見つめているかと考えると、変化が怖くなっていた。

多香子の気持ちがまるで見えているかのように渉が言う。
「多香子は変わってないよ。大丈夫。変わらない。多香子は多香子だろ?」

と・・・。

その言葉に多香子は再び鼻の奥がつんとなった。
涙は出ない。
でも、自分自身が泣きそうなほど、今、一番求めている言葉を渉はいつもくれる。
だから、気持ちをこらえることに必死だった。