多香子は渉の病院で勤務すると決まった時から渉との距離をとるようにしていた。
それまでは総合病院で勤務する仲間のような感覚だったが、上司と部下だ。
なれなれしい態度は場合により、父から病院を引き継いだばかりの渉にとっては不利になってしまうかもしれない。その思いが余計に多香子をかたくなにしている。
それだけじゃない。一線ひきたい理由はほかにもあった・・・
しかし、慶輔がいない今。その理由と気持ちはしまい込んでいる。
その気持ちが溢れないためにも距離をとる必要があると思っていた。
渉は慶輔に申し訳なく、多香子の慶輔への気持ちを考えると誘うに誘えず、見えない壁が二人にはあった。多香子が慶輔を選んだその日から、一緒にいることがつらくて渉は父の経営する産婦人科を継ぐことを決心した。半年後に退職するという届け出をした矢先、慶輔の病気が発覚し渉は自分の決断を後悔したこともある。それでも慶輔が亡くなった場所で苦しむ多香子が自分の病院に一緒に移動してくれたことで、自分の決意は失敗ではなかったと思っていた。
その見えない壁が少しずつもろくなっていることに二人はすでに気が付いている。
それでも、様々な現実と、流れる月日に、二人は自然と身を任せようとしていた。
それまでは総合病院で勤務する仲間のような感覚だったが、上司と部下だ。
なれなれしい態度は場合により、父から病院を引き継いだばかりの渉にとっては不利になってしまうかもしれない。その思いが余計に多香子をかたくなにしている。
それだけじゃない。一線ひきたい理由はほかにもあった・・・
しかし、慶輔がいない今。その理由と気持ちはしまい込んでいる。
その気持ちが溢れないためにも距離をとる必要があると思っていた。
渉は慶輔に申し訳なく、多香子の慶輔への気持ちを考えると誘うに誘えず、見えない壁が二人にはあった。多香子が慶輔を選んだその日から、一緒にいることがつらくて渉は父の経営する産婦人科を継ぐことを決心した。半年後に退職するという届け出をした矢先、慶輔の病気が発覚し渉は自分の決断を後悔したこともある。それでも慶輔が亡くなった場所で苦しむ多香子が自分の病院に一緒に移動してくれたことで、自分の決意は失敗ではなかったと思っていた。
その見えない壁が少しずつもろくなっていることに二人はすでに気が付いている。
それでも、様々な現実と、流れる月日に、二人は自然と身を任せようとしていた。



