たとえ君が・・・

渉の笑顔に多香子は心から安心する自分に気が付いた。

「多香子・・」
「また名前を・・・」
ほっとした多香子を見ている渉が目を丸くして何かに驚いている。
「どうしたんですか?」
多香子が渉を見る。
渉は自分の方にゆっくりと近づいてきた。
そしてその大きな手を多香子の方へ伸ばす。

ゆっくりと多香子の頬に触れる。
「なんですか?」
多香子が体をそらすと渉はグイっと近づく。
「どうしました?」
「・・・今・・・」
「え?」
「・・・今、笑えたか?」
「え?」
多香子は自分の頬に触れた。自分でも自分の表情はわからない。