たとえ君が・・・

多香子は慶輔ががんの治療を始めてから、慶輔の前では笑顔を絶やさなかった。
どんなにつらい時も笑っていた。そんな多香子に慶輔も笑顔を最後の時まで忘れることはなかった。

慶輔が亡くなる瞬間はもう慶輔の意識はなく、目が明かないまま涙を一筋流して旅立った。
渉が最後に話をしたとき、慶輔は自分が死んでしまったら、多香子とお腹の子供を頼むと頭を下げられた。その時、渉はいい返事をしてやれなかった。

お前が責任をもって、生きろと喝を入れたかった。
渉の言葉に切なく笑った慶輔の顔が今でも目に浮かぶ。

渉はふと空を見上げた。

慶輔。
今でも俺たちを見てるんだろう?

俺はどうすればいいんだよ。