たとえ君が・・・

「んぎゃーっ!!」
元気な産声と共に、多香子は無事に出産をした。

手術から一年後の検査ではきれいにがん細胞は消えていて、妊娠中のトラブルもなく出産を迎えることができた。

つわりもほとんどなく、多香子は安定期に入ると病院を退院して自宅で安静にしながら出産までの日々を過ごした。

念のためにと渉は帝王切開術での出産を選択して、事前に出産する日を決めていた。

もちろん手術を執刀するのは渉だった。


手術をしているときは部分麻酔で意識がはっきりとしている多香子に渉は話しかけてリラックスした雰囲気での出産となった。

発作も起きず無事に赤ちゃんが産声を上げると、渉は涙を目に浮かべながら赤ちゃんを抱いていた。