たとえ君が・・・

消えてしまうと思った多香子は慶輔の名前を呼んだ。
『慶輔!』
『ん?』
優しく包み込むように慶輔が多香子の声に反応する。
『愛してたよ。私。慶輔と結婚出来てよかった。幸せだった。』

多香子の言葉に慶輔の表情が少し泣きそうになる。
でも慶輔は涙をこらえて『ありがとう。よかった。』と微笑んだ。

『多香子。幸せになれ・・・』
そう言いながら慶輔は消えていった。




ふと多香子が目を覚ますと隣で眠る渉の寝顔が見えた。
自分の瞳から流れていた涙を手で拭いながら多香子は渉の体にすり寄る。

「ん?」
渉がねぼけながら多香子の体を抱きしめた。
渉のぬくもりに満たされながら多香子は再び目を閉じた。