たとえ君が・・・

手術から一年が経った多香子はがんの再発がないかどうかを検査したばかりだった。妊娠中にできる検査は限られているがそれでももしも再発や転移があれば最低限はわかる検査内容だ。

「きっと大丈夫だ。」
「うん。」
渉の言葉に多香子が目を閉じたまま頷く。
この一年、多香子は自分の精神的な状態も安定を保てるように努力していた。
過換気症候群の薬も漢方薬に切り替えた。それでも発作はこの一年起こしていない。

常に渉がそばにいてくれる安心感で心穏やかにいられることを感謝しながら、多香子自身も自分の気持ちをコントロールできるようカウンセリングにかよったりしていた。

がんの手術をしてから多香子は病院での勤務時間を大幅に減らした。夜勤を無くしてもらい勤務時間を短縮したり、業務内容も師長に相談して体に負担の無いようにしてもらっていた。

そして妊娠が分かり、仕事を退職した。
何よりも今一番優先すべきは赤ちゃんの命だ。