たとえ君が・・・

『ちゃんと俺にも気持ちを話してほしい。どんなことが不安なのか、どんなことを考えているのか教えてほしいんだ。』
渉の言葉は多香子の心にちゃんと響いている。

「うん」
渉は多香子の体を抱きしめた。
その華奢な体が震えている。

「慶輔との・・・赤ちゃん・・・」
「・・・うん」
「忘れられない・・・」
「忘れなくていい。」
「・・・大切なの。」
「うん。」
渉の瞳も真っ赤になる。

慶輔を思い出し、助けられなかった命の後悔は渉の心にも大きく残っている。

一番救いたい命を救えなかったことを今でも後悔しているの渉は唇をかみしめた。