たとえ君が・・・

そんな会話をしながらも渉の目は真剣だった。
「生理だっけ?そろそろ。」
「ちょっと!」
多香子が慌てて誰も聞いていないかを確かめる。
「誰もいないよ。で?どうなんだ?」
「・・・そうですけど。」
「最近、普通か?出血が多かったり吐き気を伴ったりしてないか?薬は?」
完全に渉は医者の顔になっている。多香子は過換気症候群の発作こそ起こしてはいないが念のために薬は継続して服薬していた。
「・・・まぁ。」
「ちょっと触らせろ。」
「は?」
渉が多香子の腹部に触れようとすると多香子は全力で逃げた。
「次の患者さん呼びますね。私は大丈夫です。」

患者を呼ぶために廊下へ出た多香子の後ろ姿を見ながら、渉は胸騒ぎがしていた。