たとえ君が・・・

二人は春に結婚をしようと計画を立てていた。

それまでは結婚準備や、お互いの部屋を行き来して時間を見つけてなるべく一緒にいることを決めた。多香子は自分の部屋のカギを渉に渡し、お互いの部屋に泊ることが多かった。

多香子の方が泊まるとなると荷物が多いことや、車を運転できないこともあり渉が多香子の部屋に来ることのほうが多かったが、定期的に渉の部屋の掃除やたまった洗濯をするために多香子が訪ねることもあった。二人は結婚したら・・・と未来を想像して幸せをかみしめていた。



「なんか、顔色悪くないか?」
「そうですか?」
外来の担当の日。いつものように多香子と渉がペアを組み診察している。
まだ病院の関係者には婚約していることは内緒にして勤務している二人はプライベートな会話はほとんどしなかった。
多香子の顔を覗き込みながら渉が心配そうな表情を見せている。
「院長、近いです。」
「診てんだろ?誰もいないから敬語じゃなくてもいいじゃん。」
「だめです。」