たとえ君が・・・

「トイレ行ってくる。先、車行ってて。」
「うん。」
渉がそう言って車のカギを多香子に渡す。

多香子は渉からカギを預かり、先に車のカギを開けて中に乗った。

そんなやりとりさえ、正直どきどきする。

どんどんと渉を知り、渉のテリトリーに入っていくようで、これが付き合うということなのかと実感した。付き合うようになる前、一緒にいる時間が長くて、付き合ったらどうなるのか分からなかった。でも、付き合うってやっぱり違う。

多香子は自分の中でどんどんと渉の存在が大きくなっていくことを感じていた。

「お待たせ。」
渉が運転席に乗り込む。
「はい。」
多香子が渉にカギを渡す。
「サンキュ。エンジンかけてればよかったのに。寒かっただろ?」