たとえ君が・・・

「すみません。」

その後、患者は再び警察署の保有する救急車に乗り込み去って行った。

渉も多香子も気持ちが煮え切らない気持ちのまま救急車を見送るしかなかった。

「大丈夫・・・じゃないよな・・・」
「うん・・・」
二人はどちらともなく屋上に向かった。
そして空を見上げながら何度も深呼吸をする。

~♪
気持ちの整理がつかない二人の沈黙を破ったのは渉の医療用の携帯電話の着信音だった。
「はい。橘です。・・・・はい。・・・・・・了解しました。2時間後ですね。」

会話が終わると渉は多香子の方を見た。
「脳死判定を受けた患者の状態が悪化した。2時間後に緊急オペだ。」
「了解しました。」
二人は気持ちの整理がつかないままに総合病院へ向かった。