たとえ君が・・・

女性の刑務官に渉は病状の説明をした。

「事態は一刻を争います。できれば今すぐにでも帝王切開術で出産をするべきだ。」
「診察ありがとうございました。」
「はい?」
渉は刑務官の言葉が理解できず、話を聞き返した。
「診察だけで結構です。専門の先生に診察をいただきたかっただけです。」
「手術は?」
「一度、署に戻ってから判断し、必要であれば再びお世話になります。その際は連絡をします。」
刑務官の言葉に渉も多香子も納得はいかなかった。

多香子は女性患者の身支度をしようと、再び患者のそばへ寄った。
すると女性患者が多香子に話しかけてきた。
「この子、死ぬの?」
その言葉に多香子が一瞬身を固くする。
「・・・大丈夫ではありません・・・」
多香子は患者にこたえていた。
「私語は慎むように。」
警護官がすかさず声をかける。