たとえ君が・・・

その日も外来勤務で多香子は渉よりも先に診察室に入った。
「おはようございます。」
遅れて診察室に入ってきた渉は寝ぐせ頭でかなり疲れた顔をしている。
「お疲れですか?」
「あぁ。ひとり落ち着かない患者がいて呼び出されたんだ。」
「涌井さんですか?」
「あぁ。数日は気が抜けないな。」
「今夜は私が夜勤なので、注意してみます。」
「夜勤も?」
渉は椅子に座り多香子を見た。
その目の下には大きなクマができている。
「はい。看護師が一名欠勤になりましたので。」
多香子は診察の準備をしながら話す。
「多香子。」
「だから名前で呼ばないでください。」
多香子が渉の方を見ると渉は心配そうな顔で多香子を見ていた。
「体調は?」
「大丈夫です。」
その目はかなり心配そうだ。