たとえ君が・・・

二人はお互いの気持ちを伝え合ってから正式に付き合い始めた。
なかなかこうして一緒に過ごせる時間は長くはない。勤務によってはすれ違うこともあるが、気持ちが通い合ったばかりの二人はほんの少しの時間でも一緒にいられることで心満たされた。

「手伝うよ。」
「うん。」
渉は多香子の隣に立ち、餃子を皮に包む作業を手伝い始めた。

渉はかなり器用だ。家事も一人暮らしが長く何でも自分でできる。料理も簡単なものは自分で作ることができた。その分、こうして多香子がキッチンに立っていると隣で手伝ってくれる。
狭いキッチンに、体の大きな渉と立つことは多香子にとって微笑ましい、幸せな時間だった。

「私よりも上手。」
完成した餃子を見ながら多香子がつぶやく。
「多香子はあんを入れすぎなんだよ。」
明らかに多香子よりも渉の包んだ餃子の方がきれいに包むことができている。
悔しそうな多香子の頭を渉が撫でた。
「俺は多香子の方を食べたいけどな。」
「・・・別にフォローしてくれなくても・・・」
「でかいじゃん。多香子の方。男気溢れてる。」