たとえ君が・・・

「すみません。おまたせしました。」
院長室に渉がいることは珍しい。いつもはほとんど医局にいて、長期で病院に寝泊まりする以外はほとんど使用していない。
「どうしました?」
携帯で呼び出された多香子が渉の部屋に入ると、渉はパソコンの画面と向き合っていた。
「これ、見てくれるか?」
多香子を呼び、渉が体を少しずらす。
多香子は渉の横からパソコンの画面を見た。
「妊娠25週の患者だ。クリスマスの日に交通事故に遭ってその後脳死判定を受けた。近々帝王切開術と臓器提供を同時進行で行うらしい。そのオペに呼ばれた。」
「・・・」
渉が開いていたのは患者の診療記録だった。
「一緒に行ってくれるか?」
「私も?」
「あぁ。多香子にもオペスタッフに入ってほしいらしい。和田さんからのご指名だ。」
「・・・」
「かなり難しいケースだ。」
「はい・・・」
「どうする?」
渉が多香子を見つめる。