たとえ君が・・・

渉に少し微笑み多香子は再び廊下を歩き出した。

慶輔からの手紙を読んだ後、多香子は以前に比べるとずいぶんと表情が豊かになった。それでも、昔のようにまではまだ至っていない。ぎこちなさや、笑う回数も少ない。

渉は小さな多香子の表情の変化も見逃さないようにと思っていた。

~♪
渉は医療用の携帯が胸でなり始めて電話に出た。
「はい。橘です。」
『〇〇総合病院の和田です』
「お久しぶりです。」
『交通事故で脳死状態の妊娠25週の女性が現在入院中です。近々オペ予定ですが、ヘルプお願いできますか?』

電話は渉の勤務していた総合病院の看護師からだった。
昔勤務している時からの付き合いだ。

渉は多香子を再び呼び出した。