たとえ君が・・・

ベッドに横になり、朝を迎える。そして朝になると身支度をして病院へ出勤する。
そんなルーティーンを繰り返していた。

勤務は基本的には週に5～6日。独身の多香子は一週間に一度は夜勤と早朝出勤がある。

今まで一度も遅刻をしたことはない。

「おはようございます。」
ナースステーションで多香子が挨拶をするとほかの職員が愛想笑いを浮かべながら「おはようございます」と形式だけのあいさつをした。

「カンファレンスはじめます。」
看護師長の言葉にいつものようにカンファレンスが始まった。
「竹石さんが体調不良で本日欠勤となります。211号室の涌井さんが夕べから不安定な状態で看護師の補充として連続勤務で桜木さんよろしくお願いします。」
産婦人科に休みはない。年中無休、２４時間いつも緊急の体制に備えるためには過酷な勤務も多かった。
「瀬戸さん」
「はい」