「あの時は、取り乱してしまってごめんなさい。私はもう真実から逃げたりしません。真実を受け止め、事件解決に努めます」

「藍……」

顔を赤くした如月刑事は、藍の頭にそっと触れる。藍は優しく微笑んだ。

穏やかな夜は、ゆっくりと続いていく。



次の日から、藍たちは事件解決のために本格的に動き出した。

まず東北で亡くなった村松かけるの遺体をご遺族の許可を得てこの研究所に送ってきてもらった。そして、設備の整っているこの研究所で再解剖する。

「午前十時二十分。再解剖を始めます」

藍の声が重々しく解剖室に響く。大河も朝子も、聖も如月刑事も、誰もがいつも以上に真剣な顔をしている。

青磁はもちろん、多くの人が何者かによって殺された。警察の目を潜り抜け、ずっと逃げ続けている犯人を追い詰めなければならないのだ。些細な異変も見逃せない。

メスを手に取り、藍はもう一度村松かけるの遺体を切っていく。その様子を、みんながジッと見つめていた。