藍たちは事件に巻き込まれたと思われるご遺骨、そして村松かけるを徹底的に調べていた。

「やっぱり肉体がないとわからないね〜」

解剖室から部屋に戻り、朝子が机に突っ伏す。大河が「お疲れ様です」とコーヒーを差し出した。

ご遺骨には、目立った傷などはない。やはり犯人を特定するには、村松かけるの遺体を調べるしか方法はないのだ。

「このご遺骨もDNA鑑定をしてご遺族の方にお返ししましょう」

藍はそう言い、専門の機関に連絡を取る。ご遺骨の数は数十体に及ぶ。まだDNA鑑定が済んでいないご遺骨もあるのだ。

「でも、こんなにたくさんどうやって殺したんですかね?」

大河が、ご遺骨の見つかった場所などが書かれた紙を見て顔をしかめる。確かに数十人の人を殺すなど、到底考えられないことだろう。

「犯人は、よほど人の心がないんだね」

朝子がポツリと呟き、藍は福山美里の顔を思い浮かべる。まだ犯人と決まったわけではないが、仮に犯人ならばあの笑顔の裏にとんでもない秘密を持って生きていたということになる。