ふと、歩いてみた。

ただ一本道で真っ白な、なんの面白みもない世界。

ひたすらに歩いた。

不思議と疲れは感じない。

かわりに、胸がワクワクしていた。

体感にして、おそよ10ヶ月は歩き続けただろう。

そろそろ限界だ。

なのになぜ、足は止まってくれないのだろう。

やっと道の終わりが見えた。

温かな空気、ガンバレって声。

勢いよく、この世界からはじき出された。

次の瞬間、優しそうな女性の胸に抱かれていた。

傍らには涙を流して笑っている男性がいる。

僕はこの世に、「誕生」したみたいだ。

初めまして。お父さん、お母さん。

「やっと会えたね」って2人は笑っていた。

真っ白な道の先は、命の芽吹きだった。