「実は雨宮さんと同じ学校に通う友達に名前を聞いてて、知ってたんですけど、その……彼氏いないって本当ですか?」

「……はい、まぁ、そうですね」


この後に来るであろう言葉に身構えてしまい、思わず曖昧な返事を戻してしまった。

するとあたしの返答にぱぁーっと輝くように顔を輝かせた桶谷くんとやらは、その勢いでこう言った。


「だったら、俺と付き合ってくれませんか!?」


思った通り、告白された。そんな気はしていた。

こんな知らない人が自分の名前を知っている地点で、道を聞かれたりそういう類のことはありえない。

となると、声をかけた理由はもう一つーー告白だ。

それに気づかないほど、あたしは鈍感ではない。けれど、そうなのかなと思っても相手が言う前に聞くほど野暮でもない。


「あ、あのー」

「俺のこと知らないのに付き合ってって言うのはちょっと怖いですよね? もちろん友達からでもいいんで!」

「いや、そう言うことじゃなくって……」


この人、興奮していて、全然話を聞いてくれる様子がない。多分緊張からテンパってるのかもしれない。


「俺も雨宮さんに知ってもらいたいし、知りたいし! とにかく、俺見た目もそんな悪くないと思うし、頭も良い方だからーー」

「はいストーップ」


どうしたものか……そんな風に思ってる時だった。あたしの背後から、誰かがあたしの首に腕を絡めた。