「じゃあ、早速これ外してくれる」


結局家の前まで送られてしまった。


「仕方ないな」

「仕方ないってなんだ」


はぁ、なんてため息つきながらポケットの中を探っている。初めは右側、そして同じ手で左側。


「あれ?」


おいおいおい……!

カンナは鞄の中まで探し始めた。そんな様子にあたしは焦る。むしろ恐怖すら感じる。


「まさか無くしたなんて、言わないわよね……」


ピタリと手を止めて、カンナは困ったように眉尻を下げた。

それはまさに、肯定の意味を指していた。


「ちょっ、どうしてくれんのよ! もっとちゃんと探しなさいよ!」


あたしが慌ててカンナのジャケットのポケットに手を入れようとした瞬間だった。カンナはそんなあたしの手をぎゅっと掴んで、笑った。


「なーんてね」


カンナの手からあたしの手に渡されたのは、手錠の鍵だった。


……こっ、こんにゃろ〜! 本気で焦ったじゃんか!


あたしは自分の手錠を鍵で外した後、手錠をカンナのもう一方の手につけて、そのまま鍵をポケットに入れた。


「カンナはそのまま帰ったら? 嘘つきは泥棒の始まりなんでしょ?」


ざまぁみろとでも言いたげに、あたしが舌を出した瞬間ーー。