「俺といなくてもひめは目立ってるでしょ。だから俺といたって別にいいんじゃない?」

「じゃあ言い方変えるね。あたしはあんたと一緒に登校する気はないからさようなら」


あっさりと俺のことを無視して行ってしまおうとするから、俺は思わずひめの手首を掴んだ。

俺の手があっさり掴める細い腕。滑らかな肌。

初めて触れるひめの体に、俺は思わず彼女をそのまま抱きしめそうになった。


……けど、それはさすがに行き過ぎだ。それにひめが驚いた顔を向けたかと思ったら、その後すぐに表情を変えて俺を睨んでいたからだ。


「まだ何かあるの?」

「ひめ、俺と付き合わない?」


気がつけば、そんな言葉が俺の口を突いて出ていた。ひめに見惚れて、ずっとひめの顔を見ていたいって思ったら、まさかの告白の言葉を俺の口は紡いでいた。

さすがに俺もビックリしたけど、それよりもひめの方が驚いた様子で、綺麗なアーモンドアイが満月のように真ん丸と見開かれた。

と、同時に、ちょうど登校をはじめていた生徒が数人、叫んでいた。


しまった。今は登校中の生徒が多い時間。

ここで立ち話している地点で目立っているのに、さらに告白なんてしてしまったために、辺りは騒然としていた。