高校に入って二年目の春。


「ようカンナ、クラス離れちまったな」

「ああ、これで俺は一年平穏に過ごせるってわけだ」


一年の時に同じクラスになり、やたらと人との距離が近い康介とは、気がつけば一年の多くの時間を共に過ごしていた。


「そんなこと言って、カンナは天邪鬼だからな。あとでこっそり泣くんだろ?」


そんな風に俺の首に腕を絡ませながら、康介が俺の脇腹をつつく。


「なんでだよ。俺はあとでこっそり爆笑するつもりだからな」

「いや、むしろカンナの爆笑するところとか見たことねーし。それならむしろ俺の前でしろよ」


そんなバカバカしい会話を繰り広げている間に、新しいクラスが目前だ。

すると、康介は別のクラスに入ろうとしている女子に向かって手を振った。


「おっ! ひめじゃん。なんだよ、もしかしてお前もこのクラス?」

「あれ、コウも? 同じクラスとか小学校以来じゃない?」


康介はいつでも簡単に友達を作る。俺とは違ってかなり社交的だし、人見知りや、人に対して分け隔てがない。

だからか、こんなに昔馴染みですらたった数日合わなかっただけのような空気で話しかけれるんだろうな。