「大体なんなのよ。あたしに言わないで、カンナの考えを正したいのならそうカンナに直接言えばいいじゃん。あたしの事なんか放っておいてよ!」


本当に放っておいて欲しい。カンナがあたしに絡んでくれば彼女達は不平不満を零し、カンナが離れていった今も、彼女達は鬱憤をあたしに向けている。

あたしも悪口なんて放っておけばいいのに、面と向かって言われて聞き流せるほどあたしは大人じゃない。


「それとも何? あんた達はそれで世直しのつもりなの? 警察にでもなったつもりなの? バカバカしい」


あたしがそう言い切って息を整えようとした、その時だったーー。


「神無月くんが問題じゃなくてあんたのその性格が気にくわないって言ってんだよ!」


だからあんたは何様なんだ、ってこちらも言ってんのよ!

……って、そう言ってやるつもりだった。


けど、それを言おうと口を開いた瞬間ーーバチンッていう乾いた音が女子トイレ内に響き渡った。


一瞬目の前で、チカチカと線香花火の火の粉のような煌めきが見えた。その煌めきが消え去ると、あたしの顔は地面を向いていた。