「好きな男がさー
合コンで彼女できたみたいで
あたしフラれました…」

バツが悪そうな後輩。
「あ、もー いいんだよぅ。行けって言ったのあたしだし!あたしも随分泣いたけど もぅスッキリだし…」

後輩は、テーブルの斜め向かい側…
即ち 席をいっこ挟んであたしの隣りに座っていた男に話を振った。

「佐藤さん、ユリ先輩かわいそーだから 慰めてやってくださいよ」

彼はダイナミックにご飯を平らげながら
「えっ?俺?」
と 突然話を振られて驚いていた。

「いいよ。俺。今度映画でも行こうか」

なにこの展開。


あたしはその日のうちに彼にアドレスとケイタイ番号を渡した。

ちょっと変わり身早過ぎやしませんかね、あたし。

違う部署の たまに顔を見るその男が
佐藤真二だという名前だと初めて知った。


五月最期の月曜日。
八代ユリ、自分の軽さに絶句。