「ねぇ。なんか今日、御門くんめっちゃ機嫌よくない?」



「いつもなら挨拶しても無言なのに、今日笑顔で挨拶してくれたの!!」




「え!?まじ!?いいなー」







「───────〜〜♪♪」


「おい鼻歌って・・・ほんとどしたの今日」




黒髪の短髪の身長がクラスで一番高いデカブツが、外の風景と視界の間に入る。




《 一百野正作<イオノショウサク> 》。小学校からの仲で、親友だ。





「いや普通だ普通」


「いや顔がなんかニヤけてる。凪さんとなんかあったんか?」





こいつは唯一俺がゆずを好きだと知っている存在だ。口が固くて助かる。




「うん、まぁな。えっとな、あの・・・・・・えーーっと」



言いたいことがいっぱいあって言葉につまる。



「今日、朝にあの昭和スタイル気に入ってるって、ありがとうって言われて。メガネとかしててもすっごく可愛くて」



「ほんと、好きなんだな」




「うん。かなり」




「じゃぁ、完璧にモテなくなるとは言いきれなくなったな」




「・・・what?」



「だってお前、メガネでも可愛いって思う奴とか、その見た目のダサさでもいいって思う奴もいるかもだから意味なくね?」



「・・・・・・」



「実際お前も可愛いって思ったんだし」



「・・・・・・」



「見た目より中身重視じゃ尚更。凪さん優しくて素直で、性格いいんだろ?」



「・・・・・・」




「それに惚れたりでもしたら・・・・・・」






正作が鈴を見ると、鈴は魂が抜けたように床に倒れていた。





「正作・・・・・・俺ってバカなのかな・・・・・・(泣)めっちゃ安心しきってた・・・笑顔で送り出しちゃった・・・」




「バカっていうか、不器用だよな、お前は」





ゆず、今頃どーしてるのかな────────









「えーーっと、今日はやっと席が全部埋まったな。みんな仲良くするんだぞー」




「「はーーい」」




男子20、女子16。このクラスはやや男子が多いみたい。



そしてもしかしたらこのクラスは運動ができる人の集まりかも・・・・・・。




野球、サッカー、テニスのスポーツバックがロッカーの上を占領して隙がない。




どうしよう。体育祭とか球技大会とか絶対みんなガチ勢じゃん。





私、一切運動できないよ・・・??





小中の運動会、私が何をやらかしたか知ってる人は誰もいない・・・・・・。








そんな活発な生徒とは反し、やる気のない、けだるげな先生は30代半ばの独身。






生徒の言葉にはあまり反論しないのか、入学1週間で生徒1名不在の中、席替えし、私の今の席は一番後ろの1番窓側。




まぁ、ありがたい。余り物には福があるって本当なのかも。




隣の席は静かそうな黒髪男子。


前の席は髪を下ろした明るい栗毛の女子。


斜め前は少し焼けている、茶髪の男子。




(どうやって友達作りしよう・・・・・・中学ではほとんどみんな小学校同じだったしなぁ)






キーンコーンカーンコーン




チャイムが鳴ると、みんな話し出したり、廊下へ出たりしている。




「───────ねぇ」




それは前の席の女子だった。