オリエンテーション1日目が終わり、2日目。




朝食をたべ終えた生徒たちは、川へ水遊びに来ていた────────




「いや寒すぎだろこれ・・・・・・」



ゆずの隣にいた傑は川の水に手を浸すと、真顔でそう言った。




「わっ!ホントだ冷たい・・・」




ゆずも同じく手を浸すと、すぐにそこから手を引き、片手で温めた。




それもそのはず。今はまだ4月末だ。



だが、そんな寒さに怯まない勇者達がいた・・・





「ひゃっほい!!みんな楽しいぞ〜!!こっち来いよ!!」



「そうだぞ!常温だぞ!若者がこんなのに負けてどーする!?」





そう、桜賀と担任のきゅうちゃんであった・・・・





「おかしい・・・・・・あいつらアホだ・・・」



千代ちゃんは冷たい眼差しで、体育座りをしながら言った。



2人とも、まだ幼い少年のようにはしゃいで遊んでいた。



川原で生徒たちはそんな光景を見ていたのである。





すると、ポンポンと私の肩を誰かが叩いた。



振り返ると、そこには見知らぬ男子2人がいた。




「君、凪さんでしょ??噂で聞いたんだよね〜めっちゃ美人って!」



「なんでメガネしてるの??メガネとってちゃんと顔見せてみてよ〜」




「・・・え、えっと・・・私目悪いし、メガネの方が好きで・・・」



それを遮り、男子のひとりがゆずの手をガシッと掴む。



「俺、メガネいらないと思うな〜」



「・・・っ!やっ・・・・・・」



男子がゆずのメガネに手をかけようとした時──────────




その手を誰かが掴んだ。





「手、離せよ」




傑くんだった。




鋭い目付きで男子たちを睨みつける。




その掴んだ男子の手を傑くんはもっとギュッと力強く掴む。





「・・・いっ・・・・・・わかったよ・・・っ」



男子は傑くんの手を払うと、「行こーぜ」ともう1人に言いながらどこかに行った。





「平気?痛かった?」



傑くんは私の、さっき男子に掴まれたところを見る。



大して痛くはなかったけど、それより少し怖かった。



あの状況で私一人だったら、きっと振り解けない。



傑くんのお陰で助かった。





「ありがとう・・・傑くん」




精一杯できるお礼を言うと、傑くんは優しく微笑んだ。



その顔を見て、心が落ち着く。




私もそれにつられて表情筋がほころぶ。





「────────大丈夫」





傑くんが、小さな声でそういった気がした。




「・・・え?」




「ゆず可愛いから、これから学校であーゆーこと、いっぱいると思う。だから───────」










その言葉を聞いて、ゆずは目を見開く。






胸の高鳴りが止まらなかった───────