ゲームのことなんか早々聞かれないから、普段の自分だったら発狂してたかもしれない・・・



そしたら声に釣られて猪とか来そうだから、今の方がいい。




傑はゆずの目を見て、



「・・・俺、ゲームで1回、ゆずと・・・・・・」


「・・・・・・??」




その時、草の茂みからザッザッと、音を立てて動いた。





  「え!?猪・・・!?」




かと思われたが、そこから桜賀が出てきた。



「ブハーッ!!やっぱこの時期はまだカブトいねぇかーー」




ジャージや顔にに葉っぱや土をつけて桜賀は言った。




「・・・・・・お前、またやってんのか・・・」



ため息とともに顔を手で覆った傑くんは、その桜賀くんの行動に覚えがあるようだった。



傑くんの言葉に気づいた桜賀くんは、少年の眼差しで私たちを見た。



「アッ!!ゆずのっち!すぐるん!なにしてんの!」



「いや、こっちのセリフだよ」




ゆずが冷静なツッコミをすると、傑がさっきの優しさとは違う冷めた口調で説明した。




「こいつ、虫取りが趣味なんだよ。概ね今もカブトムシ探してたんだろ」



「すぐるんあたり!!さすが俺の真友だなっ」



いちいち"しんゆう"の当て字を変えてくる桜賀であった・・・・・・




「いや〜この年で虫取り好きなの俺くらいだな☆ある意味絶滅危惧種だわ♪」



ポジティブすぎる桜賀にゆずも傑も圧倒されていた。





少年が見える・・・そこにまだ純粋な眼差しの少年が・・・・・・眩しい、眩しいよ・・・・・・





その後、同じ宿屋の桜賀くんと傑くんは帰って行った。



「そういえば、また傑くんの言いたかったこと聞けなかった気がする・・・・・・」




また後で聞こうと思い宿屋に戻ると、にこにこの千代ちゃんが正座をして居た。



まだ乾かしていないようで、髪は濡れていて、綺麗だな〜と思っていると、




「ねぇ、どうだったの??ゆずの〜!!」



と言う何かを期待してそうな千代の質問に、




「・・・・・・純粋な少年がいたよ」



「・・・へ?」




正直なことを言ったゆずであった───────