「あ〜美味しかったね〜ゆずの」



「うん!!ほんとチョコクロワッサン最高・・・」



夕食を終えたゆずと千代は自分たちの宿屋へ戻るところだった。




2人は、特にゆずは機嫌がよかった。



夕食を作ってくれたおばちゃんが太っ腹で、頼んだものを全部作ってくれたのだ。




ゆずの好物、甘い物とクロワッサンを合わせたチョコクロワッサン。それさえも作ってくれた。




あのおばちゃんに感謝しないと・・・・・・


ありがとう!!食堂の女神よ!!全世界の食堂のおばちゃんの鏡よ!!




「・・・・・・あれ?あそこに傑がいる」



千代ちゃんが指さす方向を見ると、そこにはベンチに座る傑くんがいた。



ちょうど他の宿屋の明かりがベンチを差して、暗い夜道でもわかる。




「何してるのかな?千代ちゃん、一緒に・・・」


「私お風呂入るから!じゃ!」



千代ちゃんはとびっきりの笑顔ででそう言うと、物凄い速さで行ってしまった。





「・・・・・・ゆず??」





そう、傑くんの声が私を呼んだ。



傑くんを見ると、やはり傑くんは私を見ていた。






傑くんの隣に座ると、なぜだか緊張してしまった。



いや、勢いで座っちゃったけど、何話そう。



いつも傑くんと二人きりだと何話そうか考えちゃう。



傑くん、一人でいたかったよね絶対!!邪魔しちゃったかな!?



それに、夜にベンチに座る男女って、なんかなんかなんか・・・・・・



いやいや、私たちそんなんじゃないから!!カップルとかでも好き同士でもないから!!





そんな脳内妄想をオンパレードしていたゆずに、傑話しかけた。




「甘いもの好きなの?」




その急な問いに「へぃ!?」と、変な声を出してしまった。恥ずかしい!!!




「う、うん。好きだよ!よくすーくんとケーキ屋さんとかに行くんだ〜」



「そうなんだ。あの子も甘党なんだね」



傑の声は、何故かいつもより優しく聞こえた。



環境がいつもと違うから??夜だから??



「・・・・・・ね、聞きたいことがあるんだけど」



「・・・・・・??」



「ゆずって・・・・・・」




この状況は・・・・・・もしかして、アレですか!?


学園ラブにあるあるのコ・ク・ハ・ク!!??



二人っきりだし・・・



きゃぁー!!いつからっ!?いつから───────




「ゲーム好きなの?」




「・・・・・・へ??」




あまりに、あまりにも全然違う質問に湧き上がった興奮が一気に下がる。



いや、なにショック受けてんの。妄想酷すぎるよ私。うん。酷い。




「うん。好きだよ。大好き」


「言ってる言葉としてる表情合致しないよ??」



自分に落胆しすぎてテンションがガタ落ちだ。