まさかそんなわけ






「おはよう、昨日大丈夫だった?」



「おはよう、大丈夫だったよ」



良かった、と安心していると頭に再び温もり。



ばっと顔を上げるとやはり頭に手が乗っている。



なんだよなんだよ、またかよ。



心臓壊れるって!



女の子相手に、ドキドキなんて…。



お前は私の心臓を壊す気なのか!と顔を上げて見ると、私の目に映ったのは。



ふわりと優しく微笑んだ夏奈の顔。



そんな訳ないと言われるかもしれないけど、まるでその目は大切なものを見るような目で。



少なくとも私は今までこれほどに優しい目を見たことがなかった。



ハッとしてすぐに顔を背ける。




「おう、心配ありがと」



同じく優しい声が聞こえる。



「あ、うん」



その表情と声に魅了されて、声が掠れた。




危なかった。



朝から心臓に悪い。



この真っ赤っかの顔を見られるところだった。


私はパタパタと手で顔を仰ぐと、


「じゃ、じゃあもうバス来るから!


並ばなきゃ、またね!」



早口でそう言ってその場を離れようとした。


すると、手を掴まれた。



「え?一緒に行かないの?」


「え!いいの!?」


「嫌?」


ちょっと嬉しすぎて大袈裟に反応してしまった。


心の中で反省しつつ、隣に並ぶ。


隣からは満足そうに笑う声がした。