この世の中なんて、所詮くだらない。
自分のことしか考えられない馬鹿ばかり。
自分のことしか見えてない。
自覚もない。
自信しかない。

この世の中は、汚れている。


由緒正しき県内名門校、「桜坂西丘学院」。
私、久留田花香はこの学院の中学2年生だ。
顔も大して可愛くない。学力も普通。
運動は嫌い。
性格は、、ちょっときつめ。
でもそこら辺にいる女子と何ら変わりはない、、

…表面的には。

私には、みんなと違うものが1つある。
それは……

“ストロベリー・アイ” が見えること。


ストロベリー・アイ 。
恋をしている人間の瞳がピンク色に見える力。
それは一億人に一人の割合で持ってるとされる能力。
そんな宝くじよりも確率の低い能力をなぜ私が持っているのか。
わからない。
私には、記憶がない。
いつからこの力があるのかさえ、謎のままだ。



女は哀れだ。
口を開けば、彼氏、彼氏、彼氏。
いつだって想い人のことを想像しては、頬を赤らめる。
そんな彼女達の目を遠くから、私は冷ややかな目で見てきた。ピンク色に光る彼女達の目を。

でも、本当は分かっている。
一番哀れなのは、私だ。
私は、私が嫌いだ。
ストロベリー・アイ が見える、なんていう能力だって要らない。必要ない。使えない。
そういうのはもっと、恋する乙女に与えられるものだ。
だって、だって、私は、……


恋をすることが出来ないから。
一生。絶対に。